あゆみ
古谷氏は晩年何度か福井を訪れ、丸岡の中野重治記念文庫などの文庫に足を運び、「みんなに本に触ってもらえるような文庫は、いいなあ」と周囲に話していた。
古谷氏が亡くなったとき、東京の、日本近代文学館への寄贈も考えたが、「本を眠らせるのではなく、皆に使ってもらいたい」というのが、氏の生前の希望であったため、妻である吉沢氏は、良い手だてはないものかと考慮中であった。
古谷氏は、生前多くの交友関係を持ち、人との関係を大切にしていた。
古谷氏、吉沢氏とも、春江町には直接関係のある人物ではないが、「本は、私たちの財産」というお二人は、この度、町在住の方のお世話により、春江の地に人と人とのつながりから、「財産」を託して下さることになった。
古谷綱武・吉沢久子文庫室
(春江図書館2階)
文庫室の本棚には、古谷氏・吉沢氏の自宅に所蔵されていた図書や雑誌が、約1万冊並んでいる。
ショーケースには、古谷氏が愛用した、眼鏡や取材ノート、短く削られた鉛筆が、展示されている。
こちらのショーケースには、吉沢氏が大切に使用していた数々のものが並ぶ。
直筆遺書のコピーも展示されている。
「古谷吉沢文庫を読む会」が編集作成した『古谷・吉沢文庫通信』は、年4回発刊している。